利用可用性ヒューリスティックとは?
利用可能性ヒューリスティックとは、自分の記憶から簡単に取りだせる情報だけに頼って物事を判断することです。
「ヒューリスティック」単体に、人間が複雑な問題を解決する際や、何らかの意思決定をする際に、暗黙のうちに用いている簡便な思考プロセスという意味があり、「利用可能性」という言葉がつくことで、「自身の記憶の中の」という意味合いがプラスされます。
投資のみに限らず、自分の得意パターンを持つというのは、大切なことです。ですが、相場は常に異なる事情が絡み合って、その時の価格を形成しています。前回勝てたパターンだからと言って、必ず今回も勝てるとは限らないということです。
このことを常に認識しておく必要があります。例え勝率90%の俗に言う鉄板パターンだとしても、10連勝することもあれば、10連敗することだって可能性としては有り得るのです。ですが、私自身は売買の判断において、「勝ちやすいパターン」という自分の得意な形で勝負することにおいて賛成派です。
昨今多く使われている人工知能(AI)も、このヒューリスティック(過去の情報からくる思考プロセス)が利用されています。検証や実践において、似た形から似た動きが展開されるのには必ず理由があり、それは多くの場合、市場参加者の心理が投影された結果です。
そして、AIのアルゴリズムにしても、その時市場に参加している人間にしても、過去の動きから学んで次の判断を下しています。誰もが知るところで言うダブルボトムやダブルトップという形も、同じ原理が働いていると言えます。大切なのは、100%という思い込みは持たないで、必ず最悪の事態も想定しておくということです。
大金を動かす機関投資家の中には、そのような大衆心理を逆手にとって、ストップを狩ろうと狙っている人たちもいます。また、中途半端な検証量や実践経験で「勝ちやすいパターン」と認識せずに、最低でも過去チャートで十年分を各時間足分など、十分な量のデータを持った上で「勝ちやすいパターン」と認識するようにすべきです。